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毒親からの解毒日記

自己中心的で「暴力はしつけ」タイプの父、浪費家で「私は悪くないわ、気が付かなかっただけ」タイプの母に育てられ、子持ちになって初めて自分の中にあった親からの毒に気が付いたアラサー女の独白です。

母の日

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母の日

先週の日曜日は、母の日だった。
うちは子どももまだ幼いし、夫も母の日だからと言って、自分の母親にも私にも特に何もしないで過ごした。
私も当然何もしなかった。
テレビを見ていると、母の日特集のようなコーナーをあちこちでやっていて、プレゼントの一位はプリザーブドフラワーだとか、消えモノがよいとか、姑に贈るにはどんな注意が必要か等、のうがきを垂れていた。

それで思い出した。なぜ私は母の日に母に何か贈るのを辞めたのかということだ。

私は小学4年生だった。そのころ、「あさりちゃん」や「ちびまるこちゃん」を読んで、母の日にはお小遣いから何か贈り物をするんだと学習していた。お小遣いというものはもらえなかったが、何かのはずみで(特別なお手伝いをしたとか)100円もらったり、10円拾ったりといったことで、私はジャリ銭で1000円近くのお金を持っていた。
10年ほどの人生のうちで、やっとためた自分だけのお金が1000円に満たない100円玉と10円玉、5円1円の寄せ集め。ここから母のためのプレゼントをなんとか用意しなければならない。
できれば300円~500円くらいで用意したかった。だって、10年でこれっぽっちしかお金が貯められないのだ。来年、再来年もプレゼントを買うとしたら、とても今年でこのお金を使い切ってしまうことはできない。友達と駄菓子も買いたいし、かわいい消しゴムも買いたい。うんとお金を貯めれば、自分だけの服も買えるかもしれない。

でも、何しろ田舎の町だ。そんな母の日のプレゼントを買えるような店がまずなかった。
よく行くスーパーになら、この時期「母の日コーナー」というのがあって、数百円から数千円くらいの無難なプレゼントが山積みされていた。
小学4年生の知恵では、そのスーパーしか行く当てがなかった。そのスーパーまでは、車でなら数分だが、キロ数で言えば2キロ弱あった。私は6年生の友達に付き合ってもらって、母に知られないようにこっそりとそのスーパーに行った。
小学生の足だ。2キロ弱という距離、大人なら30分かからないかもしれないが、子供の足にはかなり遠かった。スーパーにやっと着いた頃には汗だくで、汗っかきの私は滝のような汗をぽたぽたと垂らしながら、プレゼントコーナーに足を向けた。それは歩いてきた暑さで流れた汗でもあったが、親に内緒でお金を使うということに対する罪悪感や、母親が気に入るプレゼントを買えるかどうかという緊張感での冷や汗も混じっていた。
自分の予算で買えるプレゼントはわずかだった。カーネーションの花一本を買うか、キャンデーの包みにするか、というレベルだ。でも、500円出せばハンカチを買うことができるのを見つけた。
正直、500円はこれまで貯めてきたお金の半分以上だ。できればもう100円でも浮かせたかった。でも、私は「これならちゃんとプレゼントとして申し分なかろう、ママも喜んでくれるだろう」と、身銭を切るというよりむしろ身を切るような思いでそれを買った。
レジを通るとき、私の10年分の貯金の半分が無くなるのを汗を流しながら見守った。店員さんは私のあまりの異様な風貌に、いぶかしい顔をしていた。私はそれも恥ずかしくて仕方なかった。
でも、ちゃんとしたプレゼント(包装紙に包まれている)を購入できてよかったと思った。帰りの道も足が痛くてつらかったが、なんとか家につけた。

いよいよ母の日を迎え、私は母にワクワクしながらプレゼントを渡した。
母の喜ぶ顔が見られるだろうと思ったのだ。きっと母は、私が一人でどこかのお店に行ってこれを選び、お小遣いからこれを購入したことについてもねぎらってくれるだろう。そのために足を痛くし、汗をあんなにかいてこれを買ったのだ。私がどんなに母を大切に思っているか伝わるに違いない。
でも、母のリアクションは「あらありがとう、でもハンカチなんていっぱいあるのに」だった。
私がどうやってこれを手に入れたのか、これを購入するお金はどうしたのか、まったく母は触れなかった。それどころか、うれしいという言葉さえなかった。
私はわざわざ友達を付き合わせて足を痛くし、自分の全財産の半分を失い、母の失望を手に入れただけに終わった。

それから二度と私は母の日にプレゼントを贈らなくなった。

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