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毒親からの解毒日記

自己中心的で「暴力はしつけ」タイプの父、浪費家で「私は悪くないわ、気が付かなかっただけ」タイプの母に育てられ、子持ちになって初めて自分の中にあった親からの毒に気が付いたアラサー女の独白です。

碗を割る

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碗を割る

昨日、お盆にいっぱいにお皿を乗せて運んでいるとき、足元がよろめいてお盆をひっくり返した。
ベビーゲートがあったおかげで子どもは離れていて破片も当たらず、片づけに乱入してくることもなく、私も食べ物がぐちゃぐちゃに混ざって生ごみみたいになった夕食を食べなければならなくはなったが、けがはしなかった。
ただ、ぐい飲みが一つ割れた。5種類以上のお椀を乗せたお盆で、3つは瀬戸物だったのだから、一つしか割れなかったのはむしろ幸運なのだが、このぐい飲みがちょうどぐい飲みにしては大きめで、子どもの味噌汁を入れるのにちょうどよいサイズだったので、子が離乳食を食べ始めてから愛用していた、ちゃんとした窯で焼かれた一点もののぐい飲みだった。
なんでそんな高価なものをよりにもよって子供の食器にしていたか。そもそもこのぐい飲みは、母が昔その窯を訪れて、ペアカップを買ったときにおまけでこのぐい飲みをその作家から直接もらったのだった。その作家の方はその当時駆け出しだったので、出血大サービスだったのだろう。今その人のぐい飲みを一つ買えば4000円くらいする。
でも母にしてみればただでおまけでもらったものだから、孫の離乳食の食器にするにはよいサイズだし、酒を飲むには大きいし、お茶を飲むには小さいし、ということで、私がそれを子に使わせることを黙認していたというわけ。
で、そのぐい飲みを割ってしまった。私はかなり落ち込んだ。せっかく丹精して作った夕食が生ごみみたいになって、捨てるのが惜しいから食べないといけなかったのも落ち込みの一因ではあったものの、何よりそのぐい飲みを割ってしまったことに気が重かった。
金づくろいでもして返そうか。でも、金づくろいを本気でやるとその作家さんの新しいぐい飲みを買う以上に値段が張る。新しいのを買って返そうか。いやいや、その作家さんの初期の作品だ。もう探しても出てこないだろう。

悶々としているときに、夫が帰ってきて、難しい顔をして台所の床を拭いている私を発見した。
どうしたの。と夫が訪ねてきたので、子の味噌汁椀にしていた食器を割ってしまったので落ち込んでいる、と返した。すると思わぬ言葉が夫から返ってきた。
「けがはなかったの?お椀はしょうがないよ」
びっくりした。私はその言葉を聞いて初めて、今まで家で茶碗を割ったとき、割ったことについて怒られたりなじられたりはしたけれど、けがをしなかったかどうか聞かれたことがなかったことに気が付いた。割ったものについてしょうがないよ、気にするなよと親から言われたこともなかった。母や父や姉から言われるのは、ほんとにとろいずね、とか、ママのお気に入りだったのに!とか、あーあ、壊した!とかだった。夫は続けて、「いつか割れるんだから」と言った。
私はとりあえず割った椀をエポキシ樹脂ボンドでくっつけ、夫にそんな風に言ってもらったことが今までなかったと言った。
たぶんあのお椀を割ったことを母に言ったら、母は嫌な顔をすると思う。もったいなかった、もう買えないのに、そんなもの子どもに使わせるから、と言うと思う。そしてそれを聞くのが嫌で、嫌で嫌で、私は必要以上に狼狽していた。でも、食器は使うものだし、使えばいつか壊れるものだし、子どもも私も怪我をしなかった、そのことの方が喜ばしいことだ。
気にしないようにできるかもしれないと思った。

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